画集「寺越慶司の恐竜」掲載作品 クリックすると紹介ページへ
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カスモサウルスの群を見つめるパラサウロロフス

 

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to "Marching Chasmosaurus: Parasaurolophus staring at the bustling migration"
作品番号: 07-06270
制作年月日: 2007.06.27
ファイルサイズ: 35 X 49 cm / 350 dpi
画材: デジタルペイント
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[ カスモサウルスの「渡り」 ]

 土煙を上げながら、カスモサウルスの大群が新しい草原を求めて移動していく。季節の移り変わりとともに毎年繰り返される大移動を、木陰から1頭のパラサウロロフスが見送っている。
 現代のヌーの「渡り」のように、ひとたび新鮮な食物を求めて動き始めた草食動物の大群を押し留めることは、誰にもできなかっただろう。
 進路にいる恐竜たちは慌てて道をゆずる。ぶ厚い頭のステゴケラス、無敵の重武装を誇るはずのエドモントニア、小型肉食恐竜のトロオドンも、マグノリアの木陰へ避難してきた。遠い空には、ケツァルコアトルスが悠然と舞っている。
 ── およそ7000万年ほど前(カンパニアン後期〜マーストリヒシアン前期)の古北米大陸西部の情景は、こんな風だったろう。
 同じ種類の恐竜の化石が氾濫河川の跡を示す地層から何百とまとめて産出することがあり、特に白亜紀末期の北米大陸の角竜類でその顕著な例がいくつか知られている。そのことから、カスモサウルスなどの角竜類は現在のアフリカのヌーや極北のトナカイのように群れで生活し、緑野を求めて大群をなして遠距離を移動した可能性が考えられている。
 河川を渡るとき不運にも溺死した群れの一部が数百体の化石群となった ── ということは、生き延びた群れの規模はその数十倍、つまり少なくとも数千頭に及んだ可能性があることを意味している。おびただしい数の彼らの生存を支えた食糧は、無尽蔵にどこにでも生えている雑多な「草」だったと考えてもよいのかもしれない。
 いずれにしても、現代の写真家がヌーの大群に魅せられるように、角竜の大群は古生物画の魅力あるテーマのひとつだ。

【「寺越慶司の恐竜」(2007年) より. HP向けに一部補筆 】
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